
建設業の税務調査で、調査官が注目するポイントの一つが「売上をいつ計上したのか」という点です。
特に決算期をまたぐ工事については、「本来は当期の売上なのに、翌期に繰り延べていないか」という視点から、工事の完成・引渡しの状況を細かく確認されることがあります。
この記事のポイント
建設工事の売上は、単純に「請求書を発行した日」や「入金された日」を基準に決めるものではありません。
原則として重要なのは、工事が完成し、相手方に引き渡された時点です。
例えば、3月決算の会社で、3月25日に工事が完成し、4月10日に請求書を発行したとします。この場合、「請求書を4月に発行したから4月の売上」と処理するのは適切とは限りません。

【図解:3月決算の会社における売上計上の違い】
| 項目 | 発生日 | 正しい売上計上時期 | 税務調査で指摘されるNGな経理処理 |
| 工事完成・引渡し | 3月25日 | 当期(3月の売上として計上) | – |
| 請求書発行 | 4月10日 | – | 「請求書を出した4月」の売上にしてしまう |
| 代金入金 | 5月31日 | – | 「入金された5月」の売上にしてしまう |
税務調査では、請求書の日付だけでなく、
「実際に工事が完成したのはいつなのか」
「施主への引渡しはいつなのか」
「検収はいつ行われたのか」
「施主がいつから使用できる状態になったのか」
といった実態が確認されます。
【調査官が実態を確認するためにチェックする主な書類・ポイント】

建設業の売上(工事収益)をどのタイミングで計上するかについては、主に以下の2つの基準が存在します。今回解説した「期ずれ」の指摘は、主に①の基準を採用している場合に起こりやすい問題です。
建設業の税務調査において、「売上の計上漏れ」や「期ずれ」は追徴課税の対象になりやすい最重要項目です。現場の担当者と経理担当者の間で情報共有を徹底し、工事の完成日や引渡日が正確に経理へ伝わる社内体制を整えておくことが大切です。